2023年11月21日火曜日

旧中川 釣り 11/19 青春のイソメ

皆様どうもおはようございます
まだ16歳(大嘘)、万太郎です。


先週のイソメがまだ残っている。

一匹のイソメが出陣の要請を願い出た。

だが、私は首になった身、行きたいのはやまやまだが、こそこそと抜け出してばれでもしたら、実に事だ。


だが、イソメの情熱は止まらなかった。

私は覚悟を決め、近くの川であれば、訓練にもなり、良いであろう、と判断した。


こそこそと準備をし、一通りのものが整ったところで、1階の廊下を通り、外へと向かう。

1階は社長の部屋があり、何か物音でも立てればすぐに気づかれてしまう。

しかし。

私は床に落ちていた缶を蹴ってしまい、カラカラと大きな音を立てる。

しまった、絶望的だ。

素直に謝ろうと、1階の社長室へ向かう。

社長室のドアを開けると、まるで何事もなかったかのように寝ている、振りをしてくれているのだろう。

これは、暗黙の行ってこい、という社長の優しさに他なるまい。

私は背中で社長に礼を言い、イソメを持って、旧中川に向かうのであった。


旧中川はもう少し暖かい時期であれば、ハゼが大量に沸いている。

また、ルアーでクロダイを釣り上げている方もお見受けしたことがある。

なかなか見どころのある釣り場といって良いであろう。


11月も半ばを過ぎ、この時期の旧中川はどのようになっているであろう。

片や、別の場所であるが、サイズ10センチを超える落ちハゼが入れ食い、とのうわさも聞いている。


旧中川に到着し、期待に胸を弾ませながら釣りの準備をする。

軽い重りを付け、仕掛けを沈めてみる。

ハゼの生命反応がない。

ハゼ的な生命反応はないのだが、植物的には大きな生命反応だ。

というのも、藻がびっしりなのだ。

少し仕掛けで誘いを掛けようものなら、仕掛け中に藻が乗って返ってくる。

これは、実はイソメ護衛術、藻隠れという正式な技術ではあるものの、地形を利用するため、普段はあまり使用しないものである。


藻が少なそうなところを移動し、川下の方へ移動していると、一つ川の中心の方へ先に出た飛び石を見つける。

この飛び石に乗れば、杭の向こう側に仕掛けを投げることができそうだ。

私は軽快に飛び石に飛び乗り、バランスを取り、杭の向こう側に仕掛けを投げ入れる。


ハゼはなかなか見当たらないが、ボラの子であろうと思われる群れは頻繁に見ることができた。

寒くなってきたため、魚は深いところへ移動にしているのであろう。

仕掛けを何度か杭の向こう側へ投げ入れていると、竿に手ごたえを感じた。

まずい、私は竿を操作し、リールを巻き、イソメの護衛に集中する。


と、私はバランスを崩し、飛び石から川へざぶんと音を立てて落ちてしまう。

すぐに立ち上がり、リールを巻く。

イソメは?無事か。


仕掛けを手元まで戻すと、イソメはしっかりと生きていた。

私はイソメに声をかける。

「危なかった、イソ、お前の回避技術が無ければやられていた。」

イソメも息を切らしながら言う。

「いえいえ、万太郎さんの腕ですよ、ありがとうございます。」

「ふふ、イソ、お前顔が藻と泥で真っ黒じゃないか。」

「何を言っているんです、万太郎さんだって、藻だらけですよ。」

「そうか、はっはっはっは。」

「ははははは。」

私たちはお互いの雄姿を認め合い、広げた釣り道具を片付けた。

そして、私はイソメと肩を組みながら、夕日に背を向け、家路につくのであった。





いやあ、青春ですね。釣りをしている人はまだ結構いましたよ。

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