2017年7月10日月曜日

7月2日試作実験ミッション 若洲海浜公園 ~フナ王~

どうも皆様おはようございます。
万太郎です。


 7月2日。

小潮。

干潮5:39。

昨日の雨の影響も有り、湿度がとても高い。

気温もそれなりにあるので少し動いただけで汗が出てくる。

空は白い雲に覆われ、今にも泣き出しそうだ。

そして小潮フィールド。

こんな日はさすがに釣り人もいまい。

どこで釣座をに着こうか、などと期待を寄せていると、予想に反してぽつぽつと人がいて釣座が確保しにくい。



 奥の方まで行ってみると、空いている場所を見つけたので、荷物を降ろす。

釣具を広げ、実験的なものや、海老、ジップロックに入れよく揉み混んで混ぜ合わせた撒き餌を足元に置く。



今は干潮。

潮が引いていて足場のいい場所がどうにも確保できない。

また、潮が引いた場所にはフナ虫が我が物顔で陣取っている。

それにしても、とんでもない数のフナ虫だ。

私はそれを気にしないようにしながら、実験的なものも含めて、竿を替えたり、仕掛けを替えたりしながら護衛を続ける。



手元で落ちたラインが足元の岩にくっついたイガイに引っかかって釣りにならない。

堤防では良くても人口磯では厳しすぎることを確認し、通所の竿リールに戻す。




 ウキに集中していると靴の甲にもフナ虫が乗ってくる。

もちろん、こぼしたマキエには一瞬で群がってくる。


まるで文字通り私の護衛の足を引っ張るかのように。

だが私もそれで気を緩めるわけにも行かない。

海老の命が掛かっている。

海老は心細く、一匹で海を漂っているはずだ。

それに比べれば、こんなフナ虫など。



 しかし、あまりに多いフナ虫だ。



私はフナ虫に問う。

なぜ私の邪魔をする。

フナ虫は答える。

最初からいたのは我らだ。

あとから来ておいて、邪魔だのどけだの言われる筋合いはない。

そもそも、我らはフナ王様のもとに行動している。

我らに何か言おうとも無駄なだけだ。

私は初めて耳にしたフナ王という存在を確認した。

フナ虫は答える。

フナ王様は釣果をつかさどる王だ。

フナ王様のおかげでわれわれはここまで繁栄できた。

フナ王様は貴様のようなケチな釣り人に見向きもしないだろう。

たくさんのフナ虫があちらこちらで私に対して冷たい視線を向け、罵倒の言葉を口にする。

そのような恐ろしい王が若洲にいたとは。

これではやっかいだ。



    そんなやり取りをフナ虫たちとしていると、奥から色の違うフナ虫が現れた。

フナ虫たちは静かに道を譲り、群れの中に一筋の道ができる。

まさか、こいつがフナ王か。

フナ王と思われるフナ虫は何も言わず、静かにそこにたたずんでいる。

私がフナ王やその周りのフナ虫に釣座の交渉のため、声を荒げてもフナ王は何も言わない。


 しばらくすると、フナ王は何かにはじかれたように海の方を、厳密には私のウキの方に向き直り、目を見開いている。



私の視界の端でウキが沈み込む。

しまった。

魚の気配だ。

私は即座に海老に声をかけ、退避の指示を出す。

しかし遅かった。

やられる、そう思った。

その時。

一陣の風が吹いた。

人口磯の奥からぞくりとする冷たい気配を感じた。

刃物を首筋にあてられた感じだ。

その気配を感じると同時に、魚の気配がすーっと消えていく。

それは一瞬のことだったと思うのだが、とても長く、時間を引き延ばされたような、そんな一瞬に思えた。

助かった、のか。

助けられたのか。

今のが、フナ王の仕業だというのだろうか。

魚の気配が消えると、永遠に思われるほどに引き延ばされた時間は、不思議な浮遊感とともに元に戻っていった。

気温は変わっていないはずなのだが、額から止め処ない汗が出る。

しばし呆然と、浮き上がってきた棒ウキを眺めた。

ようやく冷静になった私はリールを巻き仕掛けを手元に寄せ、海老の無事を確認した。

助かった。



 と、足元を見ると、風によって撒き餌の入ったジップロックが横たわっていた。

そして、色の違うフナ虫が撒き餌を大量にかついで逃げ去る後姿を唖然と見つめるのだった。



 私はわずかに残った撒き餌を適当に撒き、適当に護衛をして納竿とした。




隣の方はメジナ一匹。私はいんちきフナ王ボーズ。

2017年7月1日土曜日

6月24日試作実験ミッション 若洲海浜公園 ~恐怖体験~

どうも皆様おはようございます。
万太郎です。


 6月24日、若洲海浜公園人口磯。

満潮4時10分、大潮。

満潮からの引き潮での釣りになる。

今日はもうすぐ夏が近づいてきたことも受けてになるだろうか、少々恐怖体験を語らせていただきたい。



 本日は、カップホルダーの釣竿の使用感を確かめようと、普通の釣竿を一本と、それを立てかけられるように三脚を持参した。

せっかく来たのにカップホルダーがいまいちで帰路に着くのは不本意なので、普通の釣竿を置いて、横目で見ながらの実験を試みようと言う腹積もりだ。

さっそく三脚から用意をし、まずは普通の釣竿の準備をする。

準備品が多く、物を動かすことが多くなりそうなので、海老を蹴っ飛ばしたり、落としたりしないよう、少し離れたところに置く。

棒ウキをスイベルに繋ぎ、足元5mの辺りに投げ、三脚に釣竿を立てかけた。



撒き餌はできるだけ控えめにしたいということもあり、ジップロックに一袋分持ってきたものをウキの近くに勺一杯分投げ入れる。

これで、こちらはよしだ。


 ここからが本日の本題だ。

カップホルダー釣竿をセットし、投げる感覚を何度か試み、仕掛けをいくつか換えてみる。

やはり、慣れないと使用感がつかみづらく、先端のクリップで引っかかったりと改良の余地を確かめる。

ウキの取り付け方は半遊動でも問題ないが、なにせものさしで作った竿がとても短いので逆に固定でも問題なさそうだ。

ウキが釣り竿のガイドに当たる部分に来る前に捕まえて、ガイドとは別の方向からカップホルダーにラインを巻きつけてしまえばよい。

方法がリールと違って原始的なので全く違ったアプローチが求められる。

問題はやはり、人口磯のように、足元に仕掛けを落とせないような場所での使用は厳しいと言うことだ。

これについては、ものさし竿でなく、別のものを使えば解決できるが、そもそもコンパクトロッドとして提案したものなので、竿を長くしては本末転倒だ。

だが、いろいろ試してみるのは面白いかもしれない。


 などと、ぐずぐずと試行錯誤をして、30分くらい経った頃だろうか。

カップホルダーの仕掛けを換えようと、手元の作業に夢中になっていた時だ。


 誰の手も触れていないはずの三脚に立てた釣竿がすーっと、動き始めた。

周りに誰かいるわけでもない。

おかしい。

しかし、私はこの現象を知っている。

ポルターガイストだ。

霊が悪さをしている。

現象としては知っていても、いざその場に直面すると体は知識とは別の反応をする。

身体が目に見えない異形の物に反応しているのだ。

私は恐怖のため足がすくんでしまい、うまく動けなくなってしまった。

しかし、その間も、竿は動いていき、ついに三脚を倒して浮き上がった。

私は気合とともに竿をつかんだ。

だが時既に遅し。

三脚とともに竿は倒れ、大きな音が人口磯に響き渡る。

私は青ざめた顔で三脚を建て直し、竿をつかんでリールを巻く。

何かがおかしい。

リールが。

リールが割れている。

人口磯に響き渡った大きな音はラップ現象だったのだ。

割れたリールをひたすらに巻いてみるが、先ほど浮いていた場所に棒ウキの姿はない。

これはいわゆる物品移動現象といわれる現象であろう。

リールを巻こうも、竿を立てようもびくともしない。

私は震える手足に鞭を打ち、必死に現状を取り戻そうとする。



 やっとの思いで巻き上げたラインの先に海老の姿はなく、ハリスも途中で切れている有様だ。

かろうじてウキが戻ってきたことが不幸中の幸いであろう。



 私は呆然とし、震える手の中で割れたリールをじっと見つめ今起きたことを検めてみる。

いったい何だったのだ。

何の、仕業だ?

海老は行方不明。

そして、ふと振り向くと・・・。

少し遠めに置いた海老をじっと見つめていた猫が、こちらに振り向き、今度はこちらを凝視する。

よくよく猫の瞳を見つめると、壊れたリールを持った悲しげな人間が映っていた。

見えた。

この悲しげな人間こそが私の竿を動かした原因の霊に違いない。

昔、この人口磯でリールにまつわる悲しい思いをした霊であろう。

もちろん私の周りにそのような人間がいる訳ではない。

私は恐ろしくなり、一刻も早くこの場を立ち去ろうと本日の納竿を決意した。

憑りつかれていないことを祈るのみだ。



 平和だった若洲に、目に見えない何かが近づいてきていることは間違いない。

カップホルダーの実験を志半ばであきらめ、広げた釣具を片付け、人口磯を後にした。






 P.S.むざむざと帰る訳に行かず、堤防の入口が空いていたので、カップホルダーものさし竿を少々使ってみた。


なかなか面白いとは思ったが、ラインを手で巻くので、軍手が必需品。

折れたリールw