どうも皆様おはようございます。
万太郎です。
先日海老の被害を出した。
しかし、社長への報告をすっかり忘れ、その被害の検証等を行い、数日が過ぎてしまった。
遅くなってしまったが報告しないわけには行かない。
私は社長室をノックし、神妙な面持ちで部屋に入る。
すると、部屋に入るなり、社長の平手が飛んでくる。
私は一瞬何が起きたのかわからず、それを無抵抗に頬に受ける。
そうか。
既に社長は知っていたということだ。
しかし誰が・・・。
視界の端ににやにやした赤いあいつが横になっている。
あいつがチクったか。
くそ。
私は部屋のドアを開けたその場で棒立ちになり、うつむき加減で先日のメジナ被害について報告をした。
報告が終わるか終わらないかの時に、社長がそれを手でさえぎり、今度は逆の方向から平手が飛んできた。
私はその横暴な方法に少し躍起になって、たった一匹、たった一匹だぞ、と心に思った。
それを察したのか、社長は髭を揺らした。
それはこういっているように感じた。
「一寸の虫にも五分の魂」という言葉がある。どんなに小さな命でも意思を持って動き活動している。それが例え小さな蚊だったとしてもだ。邪魔だからといってパンと両手を合わせれば殺せてしまうだろう。しかし私であれば、その虫がその場所にふさわしくなければ、コップにその虫を捕らえ外に逃がしてやる。それが優しいのではない。命は平等なのだ。大きな命でも、小さな命でも関係なく、殺生は地獄行きだ。また、仏教の世界で言う、輪廻転生というものを信じていれば、そんなことはできないのだ。もし自分が次の生まれ変わりで虫になったらどうであろう。自分の愛したものの生まれ変わりが虫であったらどうであろう。一見自分と関係ない命であっても、それはすべてに繋がりがあり、そして、自分の行いはいつか必ず自分に返ってくるものである。それが輪廻というものだ。
私は、腹の底から、涙ながらにすみません、とつぶやいた。
そして、社長は満足したように、ごろんと横になった。
それは、
失敗はいい、だが報告はしっかりしろよ、と言っているようだった。
頭を下げた私の視界の隅に、小さな虫が棚の後ろから顔を出した。
それを見つけた社長は、お尻をゆらゆらさせたかと思うと、全力で突っ込み、虫に何度もパンチをお見舞いしていた。
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