どうも皆様おはようございます。
万太郎です。
今日は新たなる武装を身につけての護衛となる。
果たしてどこまで効果があるのか。
人工磯に場所を取ると、まずはマキエだ。
魔法の小袋を一つ一つ開け、バッカンに纏める。
チヌパワー、おから団子、おから団子の三袋だ。
まずはチヌにこれだ!を半分ほど入れてみる。
更に海水を足し、よく混ぜ、おもむろに海に投げ入れる。
マキエを投げてから、魚が集まるまで時間がかかる。
マキエを投げてからの仕掛作りだ。
仕掛を作ると海老を付けて海に投げ入れる。
今日は来るかもしれない。
いや、来るだろう。
チヌにこれだ!を海老にもしっかり塗りつけている。
万太郎です。
間違いない。
護衛を続けていると、隣に釣人だ。
ゴローさんと呼ぶことにしよう。
マキエを作り、仕掛けを作っている。
ベテランだ。
私がミャク釣りのまねごとをし、ゴローさんの護衛開始から1時間ほどだ。
ゴローさんの竿がしなる。
やられた。
何の魚かは見届けられなかったが、20cmはあろう。
私は目を背けた。
隣人とはいえ、被害を出してしまった。
それから30分後。
まただ。
今度はきちんと確認した。
メジナだ。
私は時間を確認し、竿を納めた。
そしてゴローさんに慰めの声をかけた。
どうですか?やられたのはメジナですか?
ゴローは答える。
「うーん、うまくいかねえんだよ。」
そうだろう。
私は護衛についての話を聞くことにした。
どうやら、ゴローは仕掛けを作るのはもちろん、浮きを自作しているらしい。
そこまでの情熱を持っていて、護衛がうまくいかないのであれば、話を聞かなければいけない。
浅くてうまくいかないと言う。
また、浮きについて話をしてくれた。
私が見ている限りでも、ずいぶん安定した棒浮きを使っていた。
手作りのウキとのことだ。
この棒浮きを使用し、しっかりマキエを集中させていたことで被害を出していた。
更に話を聞くと、自作した沈み浮きを見せてくれた。
これを付けた護衛を一つ見せるという。
私は邪魔にならない位置に動き、静かにその動向を見守った。
スイベルに付いた棒浮きを自作の沈み浮きに代え、まずはマキエを投げる。
その後慣れた手つきで仕掛けを投げ、沈み浮きが沈んでいくのを確認してから、ゆっくりとリールを巻く。
竿を振り上げる、リールを巻く、これを微妙に繰り返す。
先に撒いたマキエに同調させて仕掛けを動かすのだと言う。
すると、ゴローの動きが突如大きくなる。
「見えたか?」
と私に問いかける。
まさか、と思うも、巻き上げたリールの、仕掛けの先には…、海老被害だ。
たったの一投だ。
メジナが仕掛けに食いついている。
ゴローは海老被害を出したにも関わらず平然としている。
いや…。
これは被害ではない。
民明書房刊より発行されている「中国日本釣術交流秘史」で読んだことがある。
古来中国より琉球に伝わる釣武術の一つだ。
私は身代わりの術で海老をわけのわからないぐにょぐにょした変なものに変える。
ゴローのそれは、襲い掛かってきた魚をそのまま海老と替えてしまうのだ。
そうでなければ、たったの一投で海老被害が出るはずがない。
私は初めて見たそれにおののき、顔を青ざめる。
一体それをどこで。
ゴローは丁寧にそれを私に教えてくれた。
しかし、私が一朝一夕で私がそれをできるわけはない。
ゴローさんのウキに関してはまた別の機会でお話しさせていただく。
詳しい話を聞き、私は今までの自分の釣り流儀が果たして正しかったのか、頭を抱えながら帰路に就いた。
チヌにこれだ!のことなどすっかり忘れて。
鉄郎のことなどすっかり忘れて。
釣具を家に置き、迷わず上州屋に向かった。
海老被害 0
ゴローさん(仮)には掲載許可頂きました。僕はボーズです。
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