2017年5月19日金曜日

~過去の追憶~ 若洲五目襲撃

どうも皆様おはようございます。
万太郎です。



イソメの護衛に自惚れ、堕落した日々

社長に若洲海浜公園を勧められてから半月ほど。

2016年10月2日。

朝5時。

私は例のルアーロッドを右手に、イソメを左手に、人工磯を慎重に歩いた。

私は買ったばかりのウキを道糸に通し、爪楊枝で固定した。



どこの海だって同じだ。


私はいつもの要領で護衛を続ける。

この場所はこの時間からでも人が多く、また、続々と人がやって来る。

竿一本分の距離に慣れたサングラスの男。

マキエだ。

高須では投げ釣りばかりだった。

マキエがどの程度の効果があるのか。

私はそれに対しての信頼は全くなかった。

隣のグラサンがマキエを撒き始め、30分くらいだろうか。

組立式の椅子にのんびり座っていたグラサンが突然立ち上がる。

それと同時に竿を立てる。

暫しのやり取りのあと、30cm前後のチヌだ。


煙幕を焚いててもこの様だ。

私は丸裸のイソメに不安を覚える。



    魚はそんな私の不安を見逃すわけはない。

ウキが沈み込む。

しまった。

ゆっくり慎重に竿を立てると、やはりイソメは襲われているようだ。

イソメ!

私は更に慎重にリールを巻く。

やたらめったらと竿を立てる。

ただただ慌てるだけだ。

イソメ!

やられた。


その後はボロボロだ。

一度崩した調子を建て直すことは出来なかった。

私は余りに縮み上がって、恥も外聞もなく、隣のグラサンの煙幕の近くに仕掛けを投げる。

もう、助けてくれ。

しかし、それを許してくれるような相手ではない。






なんてことだ。

今までギマからの護衛のみで天狗になっていた。

海は、広い。

若洲海浜公園。

これほどまでに厳しい襲撃を受けるとは。



 私は心臓の高鳴りを感じながら、自分の失敗を悔いるとともに、それと同じくらいの燃え盛る熱意を押さえることができなかった。

ここで、護衛をしてみよう。

やらせてもらおう。

そう決意し、大失敗の護衛に満足感を得、帰路に就いた。





 5目目はその日のうちに行った臨海公園でハゼ。じゃ駄目ですか。駄目ですよね。ごめんなさい。




 一旦 おわりです。

2017年5月18日木曜日

1億年の記憶

茶色く濁った水の中。

流れはゆっくりだが、滝の下という場所がら水の動きは絶えない。

大小の魚が忙しく泳ぎまわり、あちらこちらで口を動かす。

一際大きな魚だけが、ゆっくりと水の底を回遊している。


 私は種の記憶を司る個体。

種の記憶を司る個体は稀に生まれるので、その種の中で唯一無二の存在というわけではない。

だが、ここ数百年で個体の数が大きく減少した。

今は私のみかもしれない。

私は種の中でも稀な存在。

我々の種の寿命は15年20年程度だが、私は百年ほどは生きている。

記憶を司る存在としての自覚のせいかどうかはわからない。

私は長い間ここにいる。

あまりにも長い。

だが、絶えるわけにはいかない。


 少し昔話に付き合っていただいてもいいだろうか。

我々の種は、古く1億年ほど前から存在する。

恐竜全盛期の頃だ。

あの頃は馬鹿でかい生き物がたくさんいたし、我々程度の大きさの生き物は全く珍しくなかった。

種の記憶を守る為、種の存続の為、様々な生き物が生まれ必至に生きた。

そして絶滅していった。


    我々は魚の中でも一際硬く大きな鱗を持った。

ピラニア等鋭い牙を持ち、集団で襲い掛かってくる外敵に対して、この鱗はとても役に立った。

肺の呼吸も身につけた。

我々が住むこのあたりは、雨季と乾季の差が激しく乾季の時には、水位が大きく下がる。

その分水温は上昇し、水中の酸素がなくなり、酸欠になる。

水面に顔を出し呼吸をする。

肺呼吸はとても役に立った。

たくさんの固い突起のついた舌で、食物を押しつぶし、虫、魚、蛙等はもちろん、時折落ちてくる鼠や鳥まで食べ、食料に困ることはなかった。

6000万年前、恐竜を主とした様々な種の生物がいなくなった。

理由はわからない。

それでも、我々は生き延びた。



 それからゆっくりとした時間が流れ、100万年ほど前だ。

人類が生まれた。

その小さな人間の数は瞬く間に増えた。

200年程前までは、その人間に対してもこの固い鱗、大きな体は役に立った。

だがその頃からだ。

人間たちが我々の鱗など役に立たないような鋭い棒を使い出したのは。

長い間その鱗に守られていた我々は危機管理能力などない。

どちらかといえばのんびりしている。

驚いた時に水上に飛び上がり人間の乗っている乗り物ごと潰してしまう事はあった。

だが、稀なことだ。

我々が一番人間に狙われるのは、呼吸をするために水面に顔を出したときだ。

酸欠から逃れる為に身につけた能力が裏目に出た。

我々の鱗は硬くざらざらしていて、人間達の生活に必要なものとして使用される。

我々の大きな体は、人間たちの食料として、祝いの場等で重宝された。

身を守るための鱗が、大きな体が狩猟の目的とされた。

この舌だって利用価値があるらしい。

更に、現在では魚に似せ、針の付いた道具を使い、我々が間違ってそれを口にしたとき、とても強い糸で引っ張り上げられる。

何でも食べることがまた裏目に出た。

糸で引っ張られたあとは針を取り、戻されることもあるが、そのまま絶命してしまう個体も少なくない。

そもそも身体は大きいが生命力が強いわけではないのだ。


 我々の個体は急激に数を減らした。

なぜ私が唯一生きながらえているかというと、この種の中では珍しいその生域と食性にある。

魚を口にしないのだ。

プランクトンやせいぜい赤虫だ。

これであれば、その罠にかかることはない。

また、滝の下での生活であれば、酸素はうるおい、たとえ息継ぎに顔を出したとしても目立つことはない。

子供もない。

子育てはリスクを伴うからだ。

私はこうして唯一の記憶を司る個体として、ここに生きている。

そして、今は人間同士の約束により、我々の種は人間自体に保護されているようだ。

しかし、いつ不届きな者が現れるかわからない。



 今日は疲れた。

                                             どうも皆様おはようございます。

魚を食わないので、さすがに腹が減ってきた。

                                         万太郎です。

濃いプランクトンがあるのであれを一口頂いてから眠るとしよう。

                                     電話が鳴っている。

                                 電子殲滅隊からだ。










2017年5月17日水曜日

社長心に美容室

どうも皆様おはようございます。
万太郎です。



 被害ゼロを報告すべく、社長室へ。

社長はやけに不機嫌だ。



前回の報告遅れを根に持っているのか。

今回の件について一通り報告を終えたが、やはり不機嫌だ。

私はその社長のもふもふした毛並みが少し小さくなったように見えた。

いつもの感じで社長の首根っこをぐりぐりしたり、ボディーチェックをしてみると、毛玉がなくなっている。

どうやら、美容室に行って毛玉をとってきてもらったらしい。

そこで、社長、随分と毛並みがきれいになりましたね、などとうやうやしく褒めてみた。

すると、目にもとまらぬ速さで、上半身をくるりと後ろに向け、その反動を利用し、同じ方向へ、腰を回す。

さらにその反動を利用し、回転した先から逆足のかかとがまっすぐ私の腹部に飛んでくる。

後ろ回し蹴り

私は突然のことに驚き、それに身構えることもなく、そのかかとが腹部に食い込む。

棒立ちだった私はその衝撃に後方に2回転程吹き飛び、生ゴミと書かれているゴミバケツに背中から倒れ、嫌な匂いのするゴミを体に散乱させる。

それでも何がおきたかわからず、呆然と社長を見つめる私に、なにも声をかけることもなく社長は部屋を出て行った。



いったいなんなんだ。



 私も社長室を後にし、事務所に戻る途中に専務と会う。



先ほどのことについて聞いてみると、

くーん(美容室行ったの先週じゃなかったか?)

くーん(それに気づかなかったから怒ったんじゃないの?)

くだらないことだ。

そんな、女の子じゃないんだからとぼやく。

専務が驚いた顔をした。


わん(社長、女だぞ。)

2017年5月16日火曜日

5月14日護衛ミッション 若洲 後編 ~進化~

どうも皆様おはようございます。
万太郎です。



 前回の続き

 人口磯が混んでいる。


朝5時でこの有様だ。

奥のほうに行きたいところだが、今日は堤防に近い方での護衛をしてみよう。

私の気分を悪くさせていた霧雨は既にあがっている。

海水に前回のような濁りもなく澄んでいる。



白あみこませを十分に混ぜ、今日は新しい鈎を道糸に結ぶ。

遊動浮きの仕掛けを作るのも慣れてきた。

私も少しは進化してきたと言えるだろう。

仕掛を作る視界の外で海を叩く水音が聞こえる。

マキエかルアーかと思い、目を向けると別の位置から水音。

魚が跳ねている。

活性が上がってきたか。



 仕掛を海に投げる。

足元から7,8m。

棚は1ヒロ。

投げた棒ウキはあるかないかの波とともに足元から5mに近づいてくる。

ふっとウキが沈んだと思うと、根がかっている。

1,2度の根掛かりは道糸を引っ張って解消できたが、大抵は仕掛ごと抜けてしまう。

見た目どおり、堤防に近い方の海は浅くなっているのだろう。

それを考えれば、魚の数は少ないであろうし、護衛は楽になるはずだ。



 だが、おかしい。

ウキの沈みは観測されないものの、海老の行方不明は着々と増えつつある。

そして、仕掛の数も減ってくる。

ウキがなくならないのは不幸中の幸いだ。

また根掛り。

道糸を引っ張ると、根掛かりが解消されたようで、仕掛けが戻ってくる。

しかし、その戻ってきた鈎をよくよく見てみると。


鈎が鈎に掛かっている。

この現象が証明することは一つ。

魚が海中から鈎を投げ、私たちの海老を逆に釣ろうとしていることに他ならない。

ウキも沈みこまず、きれいに海老だけ行方不明になっているからくりはこれだったのだ。

魚は、奴らは進化している

そんな恐怖におびえていると、それをあざ笑うかのように足元で一匹の魚が跳ねた。



 その後も完全な護衛が続けられた。

だが、視覚的にも魚が捕らえられる状況になってきた。

魚の跳ねる水音を聞きながら納竿。



海老被害      0
行方不明  やや





刺牙で釣りたかった・・・。魚さん一度くらい引っ張って!ボーズ。

2017年5月15日月曜日

5月14日護衛ミッション 若洲 ~進化~

どうも皆様おはようございます。
二日酔い万太郎です。



 秋田狐。

前回使った針だ。

また、完璧な護衛であった。

それは私の実力かもしれないが、針のおかげでもあるかもしれない。

何でも試してみることが大事だ。

今自分はグレからの護衛を対象にしたマキエを揃えつつある。

鈎もやはりそうすべきだ。

そこで、見つけたのがこちらである。


グレ用の鈎だ。

特に右側の刺牙(サスガ)は、鈎の色が白い。


海老にも見えるような不思議な錯覚を与え、サビキの鈎としても使えそうなほどだ。

お値段は少々張るものだが、これを使ってみたい。


二つほど新しい仕掛けを新調した。

深い方に白の針、浅い方を黒のものを一つ、その逆のものを一つ。

がん玉は重めにした。

二つくらいでは若洲の浅い底にすぐ根がかってしまうかもしれない。

その時は以前使用したものを改めて使用する。

新旧に捕われず、色々なものを試してみたい。

それこそでこそ新しいステージが見えるはずだ。



 昨日の雨で、大きく気温を落とした本日気温は16度。

満潮5時50分、干潮12時、中潮、満潮付近での釣りになる。

朝は傘のいらない程度に霧雨がぱらつき、車のフロントガラスをうっすらと湿らせる。


天気からもこの日の気分も、何故かもやもやとしている。

理由はわからない。

だが、それでも海老の護衛に出かけるのだ。



 若洲の駐車場に車を入れると、すでに多くの車が止まっている。

人が増えてきた。

堤防に並ぶ人の数も、両手を使わなければ数えられないくらいに。

それを見ただけでも、魚の攻勢が強くなってきていることがよくわかる。

バッカンに入った白あみこませの海老たちに、安心しろと視線を向ける。

私はもやもやとした気分に気合を入れなおし、人口磯へ急いだ。


続く。