どうも皆様おはようございます。
万太郎です。
沖縄に遠征してから数日。
成り行きで普段と違う釣具屋に赴いた私はある商品を手に取っていた。
「グレにこれだ。」
以前、「チヌにこれだ。」を購入したことがあったが、護衛部隊である私には効果覿面。
チヌを全く寄せ付けなかった。
やってみるか、と、「グレにこれだ」をカゴに入れた。
沖縄でのアカイソメ護衛もそこそこに成功した私は半月ぶりに若洲へ向かった。
私の不在がどれほどの影響があっただろう。
季節も季節だ。
護衛隊員も忙しくなり、ど、の付く素人まで駆り出されるのがこの季節だ。
私は不安の中、朝日が昇る前の暗闇を若洲へと急いだ。
久々の撒き餌作りに水を入れすぎてべたべたになる、いつもの電気浮きを入れ忘れ特大のものを振り回すことになるなど自らも失敗を重ねる。
そんな失敗の中でも、海老の護衛はしっかり務め、私の海老は齧られることもなく安定していた。
電気ウキを使用するのも久しぶりだ。
もう少しすると、この電気ウキが人口磯に並ぶようになる。
壮観だ。
都会のホタルはこんなところに顕在しているのだ。
空が明るくなり始めると、人がぽつぽつとやってくる。
それと同時に泳いでいる魚の群れが見えるほどになった。
今日はやけに賑やかだ。
私の10m隣に、ジャケット、防止、サングラスを装備した二人組みが釣座を作った。
一人は赤ジャケット、もう一人は白ジャケットだ。
ぐずぐずと話したり、荷物をいじりながら一向に仕掛けを海に落とさない。
主に白ジャケットが赤ジャケットに話し、時に魚の群れを指差し何か伝えているように見える。
こういった輩はだめだ、と私の経験が黄色信号を灯す。
私からすると、いったい何をしているのだろうと思うくらいにぐずぐずと仕掛けを作るのだ。
しっかり私が様子を観てやらないとすぐに海老やイソメの損害を出すはず。
私の心配をよそに、ぽんぽんと撒き餌を投げ、仕掛けを投げ入れた。
私は横目で隣のウキに集中した。
私くらいに経験を積むと、自分のウキを見ずとも、護衛等いくらでもできるのだ。
そして、白ジャケットがそうそうにやらかす。
ウキが沈み込んだ。
チヌ、さほど大きくはない。
一匹目。
だが、私には経験でわかる。
この類の連中がこれで済むはずがない。
助けてやろうとは思うが、彼らのスタンスをしっかり把握しなければ、教えたことが図星を指し逆上しかねない。
横目で見ていると、仕掛けを投げた傍からウキが沈み込み、海老被害を出している。
チヌではない、ボラだろうかかなり群れて泳いでいる。
それから小一時間、白ジャケットはコンスタントに海老被害を出し、出し続けている。
という私は、言うまでもなく、被害ゼロだ。
撒き餌を撒ききった私は、ゆったりと竿を納め、リールを片付け、周りに点在した撒き餌を流した。
そのまま帰ってしまうこともできたが、やはり、かの白ジャケットに、護衛の流儀を一つ教えておくのが私の義務なのかもしれない。
私は意を決して白ジャケットに話しかけることにした。
”おはようございますー、随分釣れてますね、仕掛けどんなのお使いなんですか?”
少々驚いたように白ジャケットは言う。
「そもそも何を狙っていたのですか?」
”え、グレとか…、チヌとか…?”
「フッ、でしょうね、私はチヌなのですが、あの魚の群れが見えますか?あの下のあたりにタナ2ヒロ3ヒロあたりにいると思うんですよ、私ここ初めてなんですけどね。」
”あ、へー、そうなんですか、エサは・・・、オキアミ、ですよね”
「そうですね、まあ、普通の。」
と、言いつつ、仕掛けを海に投げこむ。
「あの10mくらいのあの辺りに駆け上がりがあって、あの辺はタナもう少し深めでもいいんじゃないかと思うんですけどね。」
”…なるほどー、ありがとうございました。では、お先に失礼します。”
自然の厳しさをがつんと教えてやった。
少々厳しかったかもしれないが、仕方のないことだ。
今回私はこの「グレにこれだ」に助けられたような気がする。
私は自然の難しさをかみしめながら、家路に着いた。
ボウズ納竿。グレにこれだ、は漬けこんじゃ、いけない気がするんですよ、どうでしょう。