万太郎です。
気温の落ちる日も出てきた昨今、世間ではハロウィーンなどと浮かれている方々を散見するようになってきた。
私もそんな西洋お盆には乗らなければならない。
試作品、ハロウィーン浮きの試用である。
今日も朝早く、暗いうちに若洲海浜公園だ。
このちょっと間抜けで愛らしい浮きを試してみたい。
今日はそこまで混んではいない印象だ。
先週のあれが続いたのでは少し大変だ。
人口磯へと向かい、仕掛けの作成、浮きの作成をする。
最近新しい装備として、ヘッドライトを購入した。
何と便利なことか。
浮きを投げてみると
さすがに静止画で取れる技術がないのでこのようなことをしてみた。
しかしキャップの作成、締めが甘かったようで、キャップが海中で外れてしまったようだ。
浮きを手元に戻した時にはケミホタルの光が海に残ったままになっていた。
暗いうちでの使用はここまで。
仕方なく、普通の電気浮きに付け替える。
それにしてもきれいな景色だ。
と、手ごたえがある。
波打つような細かい間隔での大きな手ごたえではなく、思い出したように引きのある独特な手応えだ。
この子だ。
この子は上げられると、私を知っているようで話しかけてくる。
”お、あんた知ってるよ。メジナ探してるんだろう。隣の奴から回覧板回ってきたよ。大変だなぁ、あんたも。”
確かに私はメジナを探している。
しかし。
魚界にも奇妙な関係があるものだ。
私は、かと言って何も知らない魚への返答を適当にし、海へとリリースした。
改めて仕掛けを投げ、のんびりと反応を待つ。
徐々に空は明るくなり、仕掛けからの反応はないまま夜が明けた。
空が明るくなると、なぜか寂しい気持ちになる。
苦労して獲得した自分だけの時間が終わってしまったような。
自分以外もスタートをはじめ、自分を追い立てるように、追い越すようにざわめきが始まるような。
何もできていない自分に対する悲しみなのかもしれない。
空も明るく、浮きも見えるようになってきたので、改めてハロウィン浮きを仕掛けに付けなおす。
仕掛けを投げてみると早速何かがイソメに反応を示した。
カイズだ。
この子はとても活発で、元気がよく、とてもスマートだった。
”お、あんた知ってるよ、昨日のワイドショーでやってた。メジナだろ、メジナ。まあ、メジナ探してるやつは多いけど、昔合った奴たぁ、いまどきなあ。”
カイズも私のことを知っている様だ。
確かに前々々回、前々々々回、メジナのことを聞いて回った。
しかし魚の間でここまでとは。
悪いことはできないかもしれないな。
ハロウィン浮きの様子は好調だ。
ペンギンに比べ、色合いがよく視認性は良好で、黄色いあいつの浮きに比べても背が高いので棒浮きとしての機能性は悪くない。
あとは、先ほどのキャップか。
と考えていると、またしても何か間延びしたような反応がある。
この子だ。
この魚もまた、私を知っている様だ。
”この間、蝦蔵のブログに載ってたやつー、うけるー、なんかーメジナ探して若洲から台場まで泳いだとかー。うけるー。”
なんだかずいぶん話が大きくなっているが、この魚もリリースした。
次の魚だ。
”ウオツベで100万再生されてた、メジナを追ってのドキュメンタリーの彼でしょうか。何やら、一匹のメジナのためにスキューバの資格を取って全国を回っているとか。”
どういうことだ。
次だ。
”NASAが本気で欲しがっていたというメジナ探しのプロがこんなところで何をしている。”
何を言っているのか。
”あんたは100メートル先のメジナまで狙ったら外さないというあの・・・”
いったいこれは。
”おいおい、若洲でクジラほどのメジナを釣ったんだって?すげえな”
なぜこんなことになっているのか。
私は想いを巡らせながら、竿を仕舞い、道具を片付けた。
そして車に乗り込み、ようやく一つの答えにたどり着いた。
これが、「噂に尾ひれがつく」というやつか…。
私は生臭い自分の手に感慨を覚えながら、ハンドルを回し、帰路についた。
御あとがよろしいようで。
おもさげなござんせん。
ハニカムボールストロー ハロウィン8本入り
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