2018年4月26日木曜日

03月25日 若洲海浜公園 人口磯 ~平たいあいつ~


どうも皆様おはようございます。

万太郎です。


 あれから。


1/7、1/21、2/11。


完全にカモとの戦いだった。


奴らの出現は徐々に朝早くなり、こちらの糸垂時間をことごとく奪っていった。


撒き餌を使った釣りは限界だ。



もう、奴らが引いていくのを待つしか手はない。


1月2月に若洲、人工磯に行くのであればいつもとは違うアプローチが必要になるであろう。


カモに引き続き、花粉からも大きな被害を受け、再起動するのに多大なる時間を要してしまった。


耳鼻科でもらった花粉の薬を毎日大切に飲み、少し症状が良くなった。





 3月後半とはいえ、まだ寒い。


ホッカイロ、手袋装着、気温7度。

桜も咲き始めている。

朝4時だというのに、釣り人の影はちらほら見え、まだ暗いながら、カモの姿はなくなっている。

どれだけ奴らに苦しめられたことか。

まだまだ奴らに対して警戒を怠ってはいけない。


 車中で見えた若洲の風車はそれなりの速度で回っていて風は少しあったようだが、人口磯の海面は鏡のように静かだ。


撒き餌を作り、暗い海に投げ込む。

続いて棒浮き仕掛けを投げ込む。

潮はゆっくりと左に流れている。

今日はいける気がする、いや、何も期待せずに糸を垂らす人間などいないのだ。

少し空が明るくなってきたかこないかの5:30。

カモの影は見えない。

撒き餌を撒いても大丈夫だ。


 私はカモの影におびえながら、遠慮がちに撒き餌を撒く。

と、そうこうしているうちに。

浮きが、沈みこんだ。

久しぶりの感覚だが、この時期にこんなことがあるのかという戸惑いもあった。

そして、久しぶりの引き。

エビが。

やられたか。


顔を出したのはカイズだ。

20cmくらいであろう、若洲では標準サイズ。

ついに、今年もカモではなく魚の脅威に怯える日々が始まったのだ。


さらにエビを仕掛けに付け、糸を垂らす。

6:00。

今回の仕掛けは例のエダス付きの仕掛けだ。

この仕掛けであれば、ある程度適当に棚を決めても問題なかろうという、甘えの姿勢である。

あわよくば一荷がくれば御の字という具合である。

だが、今回のそれは予想を上回った。

浮きが、ゆっくり沈む。

引きがあるのやらないのやら、いまいちわからない。

ただ何かが付いている感覚はあった。

ゆっくりと引き上げる。

なかなか大きな影が見えるも、引き上げてみると全く厚みがない。


なんと可愛いシルエットか。

しかもこやつ、悪びれる様子もなく、仕掛け上下、両方のエビを口に含めている。


まさかそんな奴がいるとは思わなかったが、どちらか食われた時点で普通気づくんじゃねえの、と言われてしまうとぐうの音も出ない。

人口磯でこいつが来るとは思わなかったので、なかなかに驚いたが私の経験などまだまだ底浅いということであろう。



納竿。


カレイ可愛い!煮つけがうまい。

2018年4月20日金曜日

01月03日 若洲海浜公園 ~初夢~


皆様どうも明けましておめでとうございます。

1富士、2タカ、万太郎です。


 正月といえば、と解いてみたとしよう。

誰しもが真っ先に口にするのは、間違いなく、釣り、であろう。

私も遅まきながら、1月3日に釣り初めに詣でることにした。



 朝4:00。

昨日の日本酒がまだ残り、いまだ初夢を見ることもなく起床する。

しっかりと防寒をし、体の至る所にカイロを貼り付け、人気の少ない国道を走る。

冬は魚が釣りづらい。

しかし、釣れた魚は皆大きく、釣り涯のあるものになるという。

前回あたりから私たちを悩ませる、カモの存在はある。

餌取りでなく、餌鳥だ

今までの経験からすると、彼らは空が明るくなってから姿を現し、釣り人の撒き餌を食い散らかし、底に潜む魚を脅かす。

そう。

明るくなる前が勝負なのだ。

魚も夜行性のものが多く、暗いうちは警戒心が薄れ、イソメやエビを付け狙うことも増えると聞く。

彼らが姿を現す前に、撒き餌をできるだけ撒いてしまい、暗いうちに全てを終わらせる算段だ。

明るくなってからでは、彼らが来てしまったら、もう我々に成す術は、ない。

棚もいつもより、深くする。

寒くなると魚は、深みに、沖へに沈むと云われている。

全く人気のない人口磯に到着し、暗闇にまぎれて仕掛けを作る。


 ドフ、ドフ、ドッ、ドッ、ドッ。

始めそれは、良からぬ車両からの、大音量での音声妨害かと思えた。

 ドフ、ドフ、ブン、ブン、ドッ。

しかしそれは違った。

 ドフ、ドフ、ドッ、ドッ、ドッ。

車両のそれは、普通走り去っていくものだ。

 ドン、ドン、ブン、ドッ、ドッ。

今耳に聞こえるそれは30分、1時間たとうというのに一向に鳴り止まぬ。

 ドフ、ドン、ブン、ドッ、ドッ。

ということは考えられることは一つ。

 ドン、ブン、ドフ、ドッ、ドッ。

そうか。

今年になってまだ夢を見ていない。


向こうさんからやってきたということだ。

こうなってしまったら、カモなど構っている場合ではない。


明るくなってくる空、海に映し出されるカモの影。

撒き餌を撒くと、その影がその着水地点に動く。

そろそろだ。

先ほど聞こえていた重低音は、正月らしい朝と共に消えていた。

私は俯いてから一度目を閉じ、ゆっくりと顔を上げ、目を開けた。


富士だ。


私が夢に見ないからと、向こうさんからやってきたのだ。

昨年末の儀式も効いているのであろう。

私は富士に向かって大きく頷き、いつも以上に釣座周辺を片付け、本日の釣りを納めることとした。

納竿。




釣れないのはカモのせい、完全に。腕とかじゃないんです。冬の若洲はカモ注意!ボーズ。

2018年4月6日金曜日

12月30日 若洲海浜公園 釣り納め ~かも~


どうも皆様おはようございます。

鴨ノ万太郎です。


  年末だ。

今日のこれは儀式である。

それは平安の頃、新年に備えて皆慌しく掃除を始める年の瀬、釣り好きのお大臣と安倍晴明が釣り場に来た際、カゴつり用のカゴを式神により召喚しようと試みたものの、風邪を煩わせていた晴明はカゴではなくカモを呼び出してしまい、釣りにならずにカモが魚を取る様子を眺めていたが、これが実に愉快であり、安倍晴明のこの後の出世に大いに貢献したと言う話しに由来している。

撒き餌を投げてはカモが食う。

それではカゴに入れて投げればよい。

そんな、そもそもの提案とは違った発想により、カゴを使う。

いや、これは儀式なのだ。



 まだまだ、日の出る気配はない、寅の刻、4:15。

若洲に到着。


12月30日だ。

この寒い、また誰しもが家の仕事で忙しいであろう今日、釣りをしようなどと言う輩はいない。

と、端から見たらそう思えるかもしれない。

しかし、そうではない。

今日は儀式の日だからだ。

釣吉万太郎こと、晴明の血を受け継ぐ私がこの日を意識した時に、この地域の磁場は大きく変動し、人々の脳波に干渉する。

釣りに行こうと言う意思が萎えるのだ。

これでよい。



 私はひと気のない人口磯にてかごの準備をする。

そして撒き餌をしっかり詰める。


冷たい風が吹いてくる。

その風に抗うかのように、カゴを海に投げる。


まだカモの気配は感じられない。

まだだ。

私は根気よくその刻を待ち、浮きを注意深く観察する。

暗い海の、小さな波に上下する浮きから発する灯り。

この灯りの意味が彼らにはわかるはずだ。

小さな波が月明かりに照らされて小さな凹凸の影を形成する。


小さな影は自由に動いているように見えるが、そこには大きな意志が感じられる。

更に神経を集中して浮きに目を凝らす。

すると。

影が。

明らかに波の影とは違う、存在感を持った影が浮きの周辺に漂う。

牡蠣の貝を蟹がかさかさと傘のように被り、空の缶を神の亀と勘違いして、過去に貸した鍵と鴨の顔の影を糧に、掛けで感じた風で東に梶を切った。


徐々に空は明るくなり、かもの姿は1羽が2羽、2羽が4羽と明るみになる。


カゴで撒き餌を使っていると杓で撒くより減りが遅い。

余りのあるそれを杓で撒いてい見る。

思ったとおり、カモは撒きえに群がり、撒きえは雲散霧消する。

自分の足元より、10間の距離にカモが姿が20羽ほどになり、これにより儀式は終わる。


祈祷は海に届き、空がそれを了解し、大地がそれを見守った。

これでまた翌年、安泰なはずだ。


納竿。


駐車場への道すがら海を眺める。

と・・・。



予想していたよりも、悠に多い鴨の量だ。

これが吉とでるのか凶と出るのか。



ボーズ。というより、これは浮き釣りじゃなく、錘に虫が正解ですか。釣りにならないもの。だって。