皆様おはようございます。
万太郎です。
家族がたまには釣りに付いていきたいと言う。
私は躊躇った。
遊びではない。
危険すぎる。
しかし。
家族にも私の仕事の姿を見せるのは大切なことだ。
子供は親の背中を見て育つと言う。
危険だなんだと、けちなことを言っていては子供は育たない。
だが、若洲は混みすぎている。
何よりも魚との遭遇率が低い。
これでは子供たちも参考にならないだろう。
私は譲歩して、河岸を変えて家族を連れて釣りに行くことにした。
少々足を伸ばし茨城の鹿島港釣園に向かうこととした。
ここは、入場料を取るが、大人200円、子供100円ととても安く、駐車料金だと思えばなんてことはない。
何よりも、子供の体験を考えれば、そのようなけちなことは言わないものだ。
そして、足場もよく、フェンスも備えられている。
朝早くに出発し、8時前にはここにたどり着いた。
7時開園なのだから、距離を考えれば早く着いたと言えるのだが、甘かった。
入るのもぎりぎりなほどの混み具合だ。
しかし、海は透き通り、魚が泳いでいるのも確認できる。
若洲で30cmの底は闇であるのが嘘のようだ。
両隣に声をかけ、少し狭いが釣座を確保した。
子供の分、妻の分の仕掛けを用意する。
子供と妻はサビキであろう。
自分の仕掛けを作っている最中に、妻の仕掛けに魚が食いついたようだ。
この、サビキと言う仕掛けは擬似護衛だ。
針に海老やイソメをつけないのだ。
初心者にはこれがとてもよいだろう。
それにしても、これほど早くやられてしまうとは。
かかったのは小さな鯖だ。
子供は掛かった魚に歓喜し、サビキ餌に群がる魚を見ては歓声を上げる。
連れてきてよかった。
そう思いつつも、掛かった魚を針から外し、自分の仕掛けを作ろうとした矢先に、子供のリールが糸絡みしたという。
せっかくいつもと違う海に、魚が見え隠れする海に、自分の仕掛けを投げられないもどかしさはある。
しかし、子供であれば喜んで絡みも直す。
リールの絡みなど軽いものだ。
ようやく直った矢先に、妻の仕掛けに魚が掛かる。
魚とってー、と呼ばれる。
・・・。
家族で楽しめるのだからいいものだ。
魚を針から取ると、今度は子供の針が服にかかったと言う。
何でも経験だ。
カエシが付いているから気をつけなければいけない。
子供がまだー、とうんざりした顔をしている。
・・・。
針をようやく服から取り、やっと自分の仕掛けを作り終えた。
私はイソメの防衛をすることにした。
仕掛けを投げ入れ、一息つく。
なかなかいい場所ではないか。
浮きを眺め、水平線を眺める。
私は感慨に浸り、今日と言う日に感謝した。
と、視界の端から子供が持っていたはずの釣竿が倒れ掛かってきた。
子供は?
あわてて振り返ると、備え付けられたベンチに座って携帯ゲームをしている。
到着1時間弱、既に飽きたというわけだ。
この・・・。
いや、今日は子供たちに親の背中を見せに来たのだ。
そんな事に腹を立てるほどけちではない。
妻がサビキカゴにアミエビを入れるのが面倒だと言う。
確かに餌変えは面倒だ。
少々ぶっきらぼうになっていた私は、もうそのまま撒いてしまえと提案した。
勺で撒き餌を撒く。
それを見た子供が反応した。
子供が調子に乗って、次々にあみこませを撒く。
その適当な撒き餌で魚が掛かることはなく、撒き餌のみが順調に減っていった。
半分どうでもよくなってきた私は見て見ぬ振りをしたが、程なくして、あみこませがなくなったと私に報告する。
仕方なくお金を渡し、売店にお使いにやった。
あみ姫というチューブタイプのあみこませを買ってきた子供は、また撒き餌をしては携帯ゲームをしている。
私のことなど見もしていない。
そうだ。
私の仕事を見せねば。
私のフィールディングを見せれば、子供もこちらに食いつくはずだ。
・・・。
・・・。
2時間経過。
・・・。
気づくとそこに。
ベンチの下には、あみ姫3本が力なく横たわり、ベンチの上には、子供が買ってきたアイスとお菓子の残骸がだらしなく散乱していた。
クーラーボックスの中は小さな鯖が2匹。
私は3人分の釣竿を片付けながら、子供に聞いた。
ここで、いくら使ったんだ。
3000円くらいかなー、何で怖い顔してるの? けちー。
どこでも混んでますよ。ぼくはボーズ。
「けち」のすすめ 仏教が教える少欲知足 (朝日文庫) [ ひろさちや ]
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