どうも皆様おはようございます。
ふさふさ@万太郎です。
私は社長のもふもふとしたお腹を触ってみたり、口周りの髭の付け根をマッサージしながら言った。
本当です。
社長はうざったそうに体をひねっているように見えるが実は、おめえの言ってること信じられるか、ブツを持って来い、ブツを。と言っているようだ。
本当です、魚は40cmはありました、と私は階下の迷惑も考えず集合住宅の畳を叩いた。
しかし、社長はいかにも面倒くさそうに後ろ脚で首の根元を掻くだけだ。
何を言っても無駄なのか。
何とかしてこの自分にとっての大ニュースに社長を飛びつかせたかった。
信じて欲しかった。
そう、6月24日早朝、6時30分・・・。
昨日まで降り続いた雨、昨夜21時過ぎから雨は上がり、今日の朝からは風もやみ、朝のこの数時間のみ、釣りにいける。
朝4時、外に出てみると、小雨。
車に乗るのにも躊躇したが、振り続けるようであれば、若洲公園の車中で寝るか。
そう思いながら車を走らせた。
駐車場に車を停めると雨はやんでいた。
釣座を確保し、仕掛けを作る。
今日の餌は決まっている。
前回見かけた、イソメ房掛けだ。
イソメ房掛けだと、どのような魚がやってくるのか。
少なくともサッとオキアミよりは何かが起きるかもしれない。
本当です。
来たんですよ、魚が。
50cmはあったかもしれない。
社長は飯も食って、少々のんびりしていたところであったせいか、全く取り合ってくれない。
私ははたと思い当たり、言葉でわからないようであれば絵を書いてみようと試みた。
魚の絵は単純そうでなかなか難しい。
5:00。
仕掛けは海に放り込んだが、雨が降ったり止んだり。
寒い。
何度かくじけそうになり、雨宿りに戻りかけた。
しかし、戻ったところで何をするでもないと思いとどまり、竿を持った。
今日は房掛け。
撒き餌をしないので、誘いは入れつつも手持ち無沙汰だ。
寒い。
それにしても、雨も降っているというのに、周りの釣り人が帰る様子はない。
風さえなければ、波さえなければ、釣りをするのだ。
社長は私の書いた絵になど何の興味も示さず、近くにいる私がわずらわしいのかうろうろしている。
私は社長の興味を惹くべく、追いかけては、絵を書き直し、手でそのサイズを示してみた。
いまいち反応がないので、数で勝負してみよう。
駄目だ。
全く興味を示さない、飛びつかない。
いないもの、いなくなった物の証明はできないのだ。
悪魔の証明だ。
6:15。
隣に、女性を連れた釣り人が現れた。
女性はフナ虫が苦手なのであろう、人口磯に響き渡る声で悲鳴を上げている。
私は近辺の魚が逃げ出すことを憂い、今までより、遠くへ仕掛けを投げつけた。
そして数分後。
浮きが・・・沈みこんだ。
軽く合わせると、手ごたえを感じたが、あまり大きな引きは感じなかった。
期待をせずにリールを巻く。
足元までラインを引いてから顔を出したのが奴だった。
顔を出した直後突如ラインを引き、大きく泳ぎだす。
竿は弓なりになったが、寸後、魚のテンションを失った浮きが所在無さげに空中に浮いていた・・・。
一通り社長に説明をした私は、ため息を一つついた。
相変わらず、邪魔そうな落書きには目もくれず、たぬき寝入りを装っている。
このたぬきめ。
そして理解の無い社長に怒りを覚え、落書きで散らかった紙を力任せに握りつぶし、ゴミ箱に投げつけた。
すると今まで、何の興味なさそうであった社長が。
飛びついたのだった。
私はその光景を喜びと安堵を持って眺めたのであった。
ボーズ。やり取りが下手くそと言うよりほぼしたことがない悲しみ。ボウズ。
0 件のコメント:
コメントを投稿