2018年6月9日土曜日

05月06日 若洲海浜公園 ~オキアミ軍~


 甲殻暦1192年。

オキアミ率いる海老軍とメジナ軍との長い戦いは続いていた。

海老が領土と主張していた北方領土、色丹島にメジナが姿を現したのは甲殻暦1189年。


 色丹島の雲丹は棘を鍼として用いる雲丹棘鍼治療を得意としている。

雲丹の動きは止まって見えるほどゆっくりではある。

オキアミはプランクトンの一種と言え、海老のようなフォルムからも見て取れるように、特に2,3歳になったオキアミは腰をよく痛める。

オキアミの泳ぎは海老のそれとは違い、泳ぐ、と言うより漂う。

この漂っているようなゆっくりとした動きと雲丹の鍼が完全に同期し、この腰痛治療がオキアミを喜ばせた。

また、餌の少ない寒い地域なので、雲丹も外敵からよく狙われる。

このため、棘が他の地域のそれより鋭いのだ。

こういったことから、オキアミだけでなく、所謂甲殻類としての海老も殻の外側からの鍼治療が有効的で海老一同この地を聖地として扱うほどであった。


 一方、メジナの目的は昆布、藻である。

メジナは雑食性とはいえ、昆布や藻類を食すことが知られている。

藻の球状集合体、毬藻は北海道では言わずと知れた名産物である。

毬藻は淡水で育つので、湖で見られ、北海道の阿寒湖の毬藻は最大30cmほどとなり、特別天然記念物とされている。

その毬藻が増水等の影響で海に流されることがある。

毬藻は海水で生きることは出来ない。

海に出た毬藻は大抵千島海流に流されてしまうが、時折日本海流に乗ることのできる毬藻がある。

暖流である日本海流は酸素が豊富で海水に浸かると駄目になってしまう毬藻もある程度存続ができる。

こういった毬藻が流れ着くのが色丹島であり、海水に絶妙に浸かった毬藻はメジナたちにとって絶品とされていた。

メジナがこの地にやってくるのも全く不思議ではないのだ。



体躯も大きく、動きも早いメジナ軍の快進撃は続き、海老軍は完全な劣勢を強いられ反撃の糸口を探っていた。

甲殻暦1190年。

海老軍の中でもとりわけ被害が大きかったのがオキアミ兵であったが、北海道の民間会社、株式会社沖が人間を操縦する術を開発した。

人間の持っている、よくしなる長い棒状の竿と呼ばれるものに糸をつけ、その意図の先に鈎をつける。

その鈎に乗ることにより、オキアミの触覚、顎脚、第一小顎を鈎とラインの結び目に擦り付け、人間の神経細胞に干渉し、操る。

干渉を強くするために、鈎と竿の間のラインに海中と空中を隔てさせ、干渉波を倍増させる為の浮きと呼ばれるものをつけることもある。

この発明が海老軍の戦を変えた。

オキアミ兵は次々と鈎に乗り、乗り切れないものは群れとなって海を漂い、援護をした。

人間を操り、鈎を操り、攻めてきたメジナ兵をその鈎に掛けると、それを察知した人間がこれを引き上げる。

人間はそのメジナを調理すると言うわけだ。

徐々に戦局が変わり、圧倒していたメジナは逆に退却を余儀なくされた。

様々な戦いを経て、今日の戦場は東京、若洲海浜公園。

いつものように鈎に飛び乗り、海中を漂う。

今回の人間はやけに扱いづらい。

変に癖がついていて、これではメジナを鈎に掛け様にもなかなか掛からない。

朝4時30分から始め、3時間後、ようやく。

来た。

メジナだ。

鈎についたオキアミ兵はここぞとばかりに鈎を引き、人間を誘う。

ようやく巧くいった。

次のメジナを誘う。

鈎を引く。

二匹目のメジナを捉えてからなぜか人間との交信がうまくいかなくなる。

・・・。

この人間は役に立たない。


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どうも皆様おはようございます。

万太郎です。



連休の最終日5月6日。


釣りができるのであれば、明日からの仕事に対する諦めもつくというもの。

どうも今日は調子が悪く、思ったように体が動かない。

連休疲れか。

撒き餌を投げながら誘いを入れると、手前7,8メートルのあたりで浮きが沈みこむ。


メジナだ。


25cm程度だろうか。

いいサイズだ。


 そして次の一投でもメジナ。

二匹目は少々小さいか。


二匹目のメジナをあたふたと鈎から外していると、竿が折れていることに気づく。


いつの間に折れたのか。

日新の竿は安かったけれども、とてもいい仕事をした。

心から感謝する。

高いのは使ったことないのだが。

続行は不可能とし、時間も良いので納竿とした。



珍しく釣れました。ありがたやありがたや。堤防の付け根に小魚うじゃうじゃでした。ギンポ?



2018年6月1日金曜日

05月01日 若洲海浜公園 ~ボラ~


どうも皆様おはようございます。

嘘松 万太郎です。


 なかなか釣りに行けず、もやもやとして日々を送っていたがそうこうしているうちに世間はゴールデンウィークだ。

5/1と言えば中日、平日に当たるがこの間隙を持って若洲に行くこととした。

平日とはいえ、ゴールデンウィークの間日。

輩のような若者が騒いでいるのが遠めに見える。

あまりお近づきにはなりたくないものだ。


 個人的に全く実績のない時期であるが、前回のこともある、気を抜いてはいけない。

前回、棚を7メートルにまで長くしたが、寝魚にやられた。

今回は5メートルの竿、2竿分、10メートルにしてみる。

底を這いすぎてしまって、逆に根掛りしないのだ。

これでよい。



 寝魚やらカレイやら。

来るなら来てみるがいい。

私は覚悟を決め、それを待ち受けるべく竿を握り締める。

空がやや明るくなり5:30。

竿を一振りして、仕掛けを一踊りさせる。

すると、視界に入っていた浮きが消えている。

全く気づかなかった。

あわてて竿を立てると、既に掛かっているようだ。

さほど強い引きのないまま、リールを撒き魚影が現れる。

  

ボラ、か。
(※本稿コメント欄参照)


何故だろう。

テンションが上がらない。

私は一旦躊躇したが、その魚をリリースした。


 しかし。

 臭い臭いとは言われているが、以前試しに食べてみたことがあった。

特に臭みはなく、意外と行けた事に驚いた記憶がある。



 後に改めて調べたのだが、むしろその昔はボラは高級魚であったという。

ボラは汚染に強く、デトリタスと呼ばれる、動植物の遺体や排泄物といったものの集合体や藻類を食するという。

そのため、臭う個体が増えてしまったとの事である。



一方。

東京湾の魚一般も一時期海水汚染により、食べられるようなものではなかったが、最近は釣り人のオキアミ等により食が変わり、臭みのない個体が増えたとの情報もある。


 同じではないか。

若洲で採れるメジナにさほどの臭みを感じたことはない。

恐らく、先ほどのボラも問題ないであろう。

レッテル、先入観、誤解。

これらは実に恐ろしいものだ。

一度これが周知されてしまうと、解くのに時間が掛かる。

リリースされたボラはむしろ喜んでいるのかもしれないが。

それにしても事実が捻じ曲がっていることはいいことではない。

気をつけないといけない。



その後、1ヶ月ほど見かけなかったカモが私のウキ周辺に着水し、うろうろしだす。

・・・納竿!



駐車場へ戻る途中、輩のような若者とすれ違う。

わいのわいのうるさく、足早に立ち去ろうとしたが、後から追いかけられて肩をたたかれる。

先ほどまでバッカンに刺さっていた私の杓を片手に、落としましたよ、と言う。

こんな性質の悪そうな若者は私から杓を盗もうとしたに違いない。

私は杓を引ったくり、礼も言わずに車へと足を速めた。

唖然とした輩どもは、悲しそうな表情で立ち尽くしていた。



  最後のくだりは嘘松ですけどね、あ、いつもか。次はボラ食うぞ!

2018年5月9日水曜日

04月08日 若洲海浜公園 ~根魚~


どうも皆様おはようございます。

万太郎です。



春真っ只中のこの時期、昼はやや暖かくなり始めるが、夜は寒い。


また、夜明けが早くなっていく。

若洲の風車はかなりの速度で回るものの、本日も人口磯は風もなく、波もなく穏やかな朝4時前。



今までの経験から、この時期海老が魚に襲われることはないといっていいだろう。

干潮3時、満潮8時、小潮。


海老たちは遠足ムード、イージーゲームだ。

だが、今まで通りの仕掛では面白くないであろう。

棚をやや深くしてみる。

5.3mの竿、1.5本分、すなわち、7m程度だ。

さすがにどんなに投げても仕掛が底をすることになるであろう。

しかし、これでよい。

襲われる心配などないのだ。



5時前。

仕掛けからの何の魚信もなく、浮きもピクリともしない、足元から7,8m。

一旦仕掛けを引き上げようと、軽く竿を振り上げると、魚信が。


それは一時的なものであったが、何かが掛かっていると確信させるには十分であった。

特に引きはないものの、重たい何かが仕掛けにくっついている。

まだ薄暗い海の中をふっくらとしたシルエットが浮かぶ。


春だから、メバ・・・、いや、カサ・・・、ちょっと待て、こないだ本で見たクロソ・・・、いや、ムラソだかウッカリなんて奴もいるらしい。

色で判断してはいけない・・・、イケメンがメバル、ゴツゴツしてたらカサゴ、白い斑点に縁取りがあったらウッカリ・・・。


これだけ似通っていれば同一生物でいいのではないかと思うが、この違いすら別物として扱われる彼らは、もしかすると、とても愛されている存在なのかもしれない。

人間はどうでもいいものには関心を示さないものだから。

私からすると、釣ってしまったものは皆同じだ。

一匹一匹の魚を同定し、違いを探すことなど、暇人のやることだ。

私はその根魚を仕掛けから外し、バッカンの中に無数にいる海老たちに目をやる。

このバッカンの中では背丈が683番目、重さが729番目、触覚が短め、腕に傷が二つあり、脚がキレイな海老由紀を仕掛けに付け、まだ暗い海に投げ込んだ。



前回に引き続き、同じ場所で1年や2年経過して初めて顔を出す魚もいるのだから釣りというのは面白いものだ。

気になることが一つあった。

昨年、この時期など魚に襲われることもなく、のんびりとしたものだった。

数は少ないとはいえ、毎回のように被害が出ている。

魚の数が増えているのか、私の腕が落ちてしまったか。

後者は考えたくないことであるが、自分としっかり向き合うのも釣り人としての務めだ。


その後は何もなく納竿。



  根魚にはずれなし。引きが弱いのが難点?だがうまし!



2018年4月26日木曜日

03月25日 若洲海浜公園 人口磯 ~平たいあいつ~


どうも皆様おはようございます。

万太郎です。


 あれから。


1/7、1/21、2/11。


完全にカモとの戦いだった。


奴らの出現は徐々に朝早くなり、こちらの糸垂時間をことごとく奪っていった。


撒き餌を使った釣りは限界だ。



もう、奴らが引いていくのを待つしか手はない。


1月2月に若洲、人工磯に行くのであればいつもとは違うアプローチが必要になるであろう。


カモに引き続き、花粉からも大きな被害を受け、再起動するのに多大なる時間を要してしまった。


耳鼻科でもらった花粉の薬を毎日大切に飲み、少し症状が良くなった。





 3月後半とはいえ、まだ寒い。


ホッカイロ、手袋装着、気温7度。

桜も咲き始めている。

朝4時だというのに、釣り人の影はちらほら見え、まだ暗いながら、カモの姿はなくなっている。

どれだけ奴らに苦しめられたことか。

まだまだ奴らに対して警戒を怠ってはいけない。


 車中で見えた若洲の風車はそれなりの速度で回っていて風は少しあったようだが、人口磯の海面は鏡のように静かだ。


撒き餌を作り、暗い海に投げ込む。

続いて棒浮き仕掛けを投げ込む。

潮はゆっくりと左に流れている。

今日はいける気がする、いや、何も期待せずに糸を垂らす人間などいないのだ。

少し空が明るくなってきたかこないかの5:30。

カモの影は見えない。

撒き餌を撒いても大丈夫だ。


 私はカモの影におびえながら、遠慮がちに撒き餌を撒く。

と、そうこうしているうちに。

浮きが、沈みこんだ。

久しぶりの感覚だが、この時期にこんなことがあるのかという戸惑いもあった。

そして、久しぶりの引き。

エビが。

やられたか。


顔を出したのはカイズだ。

20cmくらいであろう、若洲では標準サイズ。

ついに、今年もカモではなく魚の脅威に怯える日々が始まったのだ。


さらにエビを仕掛けに付け、糸を垂らす。

6:00。

今回の仕掛けは例のエダス付きの仕掛けだ。

この仕掛けであれば、ある程度適当に棚を決めても問題なかろうという、甘えの姿勢である。

あわよくば一荷がくれば御の字という具合である。

だが、今回のそれは予想を上回った。

浮きが、ゆっくり沈む。

引きがあるのやらないのやら、いまいちわからない。

ただ何かが付いている感覚はあった。

ゆっくりと引き上げる。

なかなか大きな影が見えるも、引き上げてみると全く厚みがない。


なんと可愛いシルエットか。

しかもこやつ、悪びれる様子もなく、仕掛け上下、両方のエビを口に含めている。


まさかそんな奴がいるとは思わなかったが、どちらか食われた時点で普通気づくんじゃねえの、と言われてしまうとぐうの音も出ない。

人口磯でこいつが来るとは思わなかったので、なかなかに驚いたが私の経験などまだまだ底浅いということであろう。



納竿。


カレイ可愛い!煮つけがうまい。

2018年4月20日金曜日

01月03日 若洲海浜公園 ~初夢~


皆様どうも明けましておめでとうございます。

1富士、2タカ、万太郎です。


 正月といえば、と解いてみたとしよう。

誰しもが真っ先に口にするのは、間違いなく、釣り、であろう。

私も遅まきながら、1月3日に釣り初めに詣でることにした。



 朝4:00。

昨日の日本酒がまだ残り、いまだ初夢を見ることもなく起床する。

しっかりと防寒をし、体の至る所にカイロを貼り付け、人気の少ない国道を走る。

冬は魚が釣りづらい。

しかし、釣れた魚は皆大きく、釣り涯のあるものになるという。

前回あたりから私たちを悩ませる、カモの存在はある。

餌取りでなく、餌鳥だ。

今までの経験からすると、彼らは空が明るくなってから姿を現し、釣り人の撒き餌を食い散らかし、底に潜む魚を脅かす。

そう。

明るくなる前が勝負なのだ。

魚も夜行性のものが多く、暗いうちは警戒心が薄れ、イソメやエビを付け狙うことも増えると聞く。

彼らが姿を現す前に、撒き餌をできるだけ撒いてしまい、暗いうちに全てを終わらせる算段だ。

明るくなってからでは、彼らが来てしまったら、もう我々に成す術は、ない。

棚もいつもより、深くする。

寒くなると魚は、深みに、沖へに沈むと云われている。

全く人気のない人口磯に到着し、暗闇にまぎれて仕掛けを作る。


 ドフ、ドフ、ドッ、ドッ、ドッ。

始めそれは、良からぬ車両からの、大音量での音声妨害かと思えた。

 ドフ、ドフ、ブン、ブン、ドッ。

しかしそれは違った。

 ドフ、ドフ、ドッ、ドッ、ドッ。

車両のそれは、普通走り去っていくものだ。

 ドン、ドン、ブン、ドッ、ドッ。

今耳に聞こえるそれは30分、1時間たとうというのに一向に鳴り止まぬ。

 ドフ、ドン、ブン、ドッ、ドッ。

ということは考えられることは一つ。

 ドン、ブン、ドフ、ドッ、ドッ。

そうか。

今年になってまだ夢を見ていない。


向こうさんからやってきたということだ。

こうなってしまったら、カモなど構っている場合ではない。


明るくなってくる空、海に映し出されるカモの影。

撒き餌を撒くと、その影がその着水地点に動く。

そろそろだ。

先ほど聞こえていた重低音は、正月らしい朝と共に消えていた。

私は俯いてから一度目を閉じ、ゆっくりと顔を上げ、目を開けた。


富士だ。


私が夢に見ないからと、向こうさんからやってきたのだ。

昨年末の儀式も効いているのであろう。

私は富士に向かって大きく頷き、いつも以上に釣座周辺を片付け、本日の釣りを納めることとした。

納竿。




釣れないのはカモのせい、完全に。腕とかじゃないんです。冬の若洲はカモ注意!ボーズ。